健康診断でALT 80だったら病院に行くべき?
ALT 80は基準値(30〜40以下)の約2倍。1〜2か月後の再検査が基本ですが、ALT 100超・黄疸・倦怠感がある場合は早期受診が必要です。
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結論から先に
ALT 80は基準値(多くの施設で30〜40 U/L以下)のほぼ2倍です。すぐに入院が必要な数値ではありませんが、放置してよい数値でもありません。 1〜2か月後に再検査を行い、それでも高値が続く場合は消化器内科を受診してください。ALT 100超・黄疸・強い倦怠感・右上腹部の痛みがある場合は、2週間以内の早期受診が必要です。
どんな場合に当てはまるか
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は肝細胞が傷んだときに血中に放出される酵素です。ALT 80が問題になるのは、主に以下のような状況です。
非アルコール性脂肪肝(NAFLD/NASH)
日本で最も多いALT上昇の原因です。内臓脂肪の蓄積により肝細胞に脂肪が溜まり、炎症が起きます。BMI 25以上・腹囲が基準超・中性脂肪高値が揃っている場合は脂肪肝を強く疑います。
過度の飲酒
アルコール性肝障害では、ALTよりASTやγ-GTPが高くなりやすい傾向がありますが、ALTも上昇します。「適量」を超える飲酒が続いている場合は要注意です。
慢性ウイルス性肝炎
B型・C型肝炎ウイルスへの感染は、長年症状なしにALTを上昇させ続けることがあります。健康診断でのウイルス検査を受けたことがない方は、一度確認することをお勧めします。
薬剤性肝障害
市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、漢方薬、健康食品・サプリメントなどが肝障害の原因になることがあります。最近新しく飲み始めたものがある場合は医師に伝えてください。
激しい運動の直後
ALTはASTほどではありませんが、激しい筋肉運動の後に一時的に上昇することがあります。健康診断の前日にマラソンや激しいトレーニングをした場合は数値に影響することがあります。
例外状況
ALT 80でも「様子見」でよいケース
- 前日に激しい運動をした直後の測定で、他の肝機能値(AST・γ-GTP・ビリルビン)が正常
- 過去の健康診断でも同程度の数値で、長年のフォローアップで変化がない(かつ医師が経過観察中)
- 発熱・感冒などの急性疾患の最中に採血した場合(回復後に再測定)
早急に受診が必要なケース
- ALT 100 U/L超
- ALTが急激に上昇している(前回より50以上増加)
- 皮膚・白目の黄疸、濃い茶色の尿
- 右上腹部の圧迫感・鈍痛
- 強い疲労感・食欲不振が2週間以上続く
費用・リスク・注意点
受診した場合の検査費用(目安)
- 血液検査(肝機能パネル):3,000〜5,000円(3割負担)
- 腹部エコー(超音波)検査:2,000〜4,000円(3割負担)
- 肝炎ウイルス検査(B型・C型):初回は自治体の無料検診を利用できることが多い
放置した場合のリスク
脂肪肝が放置されると、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)→肝硬変→肝がんへ進行するリスクがあります。慢性肝炎の場合も同様の進行リスクがあります。進行するにつれて治療の選択肢が狭まるため、早期発見・早期対処が重要です。
生活習慣の改善
再検査までの期間でも以下を実践することで、次の検査値に影響する可能性があります。
- 飲酒:禁酒、または週1〜2日以下に削減
- 食事:揚げ物・甘い飲み物・精製炭水化物を減らし、野菜・魚・大豆製品を増やす
- 運動:週150分以上の中強度有酸素運動(速歩・水泳・自転車)
- 体重:現体重の5〜7%減少でALTが改善することが多数の研究で示されています
サプリメントへの注意
「肝臓に良い」とされる一部のサプリメントや健康食品が、逆に肝障害を引き起こすことが知られています。ウコン・イチョウ葉・一部の漢方薬に注意が必要です。現在服用中のものは受診時に全て医師に伝えてください。
よくある質問
Q. 健康診断の結果票に「要再検査」と書かれていました。必ず再検査を受けるべきですか?
はい、受けるべきです。「要再検査」の指示は医療機関からの正式な勧告であり、それを無視して問題が進行した場合の責任は本人が負うことになります。特にALT 80はその境界に位置しており、放置することで早期発見・早期治療の機会を逃すリスクがあります。費用的な懸念がある場合は、まずかかりつけ医に相談するだけでも最初の一歩になります。
Q. 食事を変えればALTは下がりますか?
脂肪肝が原因の場合、食事改善と適度な運動によって3〜6か月でALTが有意に低下することが複数の研究で示されています。ただし、ウイルス性肝炎や薬剤性肝障害が原因の場合は食事改善だけでは不十分で、原因の除去(薬の変更・抗ウイルス治療など)が必要です。食事改善は試みる価値がありますが、それを理由に受診を先延ばしにすることは避けてください。
Q. ALT 80は保険証や生命保険の加入審査に影響しますか?
生命保険や医療保険の申込時に健康診断の結果を開示する義務があります。ALT 80単体で即座に引受拒否になることは少ないですが、「要再検査」と判定されている場合は告知が必要で、結果によっては引受条件が変わる可能性があります。保険加入を検討中の方は、受診・再検査を先に行い正式な診断を得てからの方が手続きがスムーズなことがあります。
Q. 子どもや若い人のALT 80はより深刻ですか?
若年者・子どものALT上昇は成人と原因が異なることがあります(ウイルソン病・自己免疫性肝炎・先天代謝異常など)。また若い世代でも肥満に伴う脂肪肝が増加しています。年齢に関係なく、ALT 80は医療機関での確認が必要な数値です。特に10〜20代でのALT上昇は稀なため、小児科・内科で専門家に相談することをお勧めします。
Q. 毎年健康診断でALTが高いが、医師から「大丈夫」と言われています。信用してよいですか?
経過観察の指示が適切な診断に基づいている場合は問題ありませんが、「大丈夫」の根拠(腹部エコーでの確認、ウイルス検査の実施、原因の特定)が明確でない場合は、セカンドオピニオンを求めることを検討してください。特に、腹部エコー検査をまだ一度も受けていない場合は、一度実施してもらうことを積極的に依頼してみてください。
参考資料
- 日本消化器病学会「NAFLD/NASHガイドライン2020」— 非アルコール性脂肪肝の診断・治療の基準
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「肝機能検査について」— ALT・AST・γ-GTPの基準値と意味の解説
- 日本肝臓学会「患者さんのための肝臓病の基礎知識」— 肝臓病の進行と受診タイミングの解説
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参考資料
上記の出典は本文で扱った一般的情報の一次資料です。時期によりガイドラインが更新される場合がありますので、各機関の最新情報も併せてご確認ください。
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