飛行機が大幅遅延、払い戻しは請求できる?
国内線は出発時刻から2時間以上の遅延または欠航で運賃全額払戻しが可能です。国際線は出発地・航空会社によってルールが異なり、EU発便は法的補償制度があります。
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結論から先に
国内線では、出発予定時刻から2時間以上の遅延または欠航が発生した場合、旅客運送約款に基づき運賃の全額払戻しを請求できます。国際線は日本発着便では航空会社ごとの約款が適用され、金銭補償は基本的に規定されていません。ただしEU加盟国発着便についてはEC規則261/2004により距離・遅延時間に応じた定額補償の権利があります。天候・管制指示など航空会社の「免責事由」に当たるケースでは宿泊・食事代の補償は受けられないことが多く、旅行保険の活用が有効な選択肢となります。
どんな場合に当てはまるか
国内線の遅延・欠航と払戻し
国内主要航空会社(ANA・JAL等)の国内線旅客運送約款では、以下の場合に旅客は搭乗しないことを選択し運賃の全額払戻しを請求できると定められています。
- 航空会社の都合により出発予定時刻から2時間以上遅延する場合
- 航空会社の都合により当該便が欠航となった場合
- 乗り継ぎ便への接続が不可能となり、旅行目的を達成できなくなった場合
払戻し手数料は発生しません。搭乗を取りやめる場合は、出発空港またはオンラインで払戻し手続きを行います。すでに搭乗が開始されている場合やラウンジ利用後の場合も、搭乗前であれば払戻しの対象となります。
航空会社の責任による遅延での補償
機材故障・整備上の問題・乗務員の体調不良など航空会社の責任による遅延・欠航の場合、多くの国内航空会社は次の対応を行っています。
- 代替便への無料振り替え
- 空港内の飲食施設で使える食事券(軽食)の提供
- 翌日便に振り替えとなる場合の宿泊施設の手配または宿泊費補助
ただしこれらは航空会社の自主的なサービスとして提供されるものであり、約款で義務づけられた内容とは異なる場合があります。現場の地上スタッフに遅延の理由と補償内容を確認することをお勧めします。
国際線の遅延と払戻し
日本発着の国際線は、各航空会社の国際線旅客運送約款(IATAの標準約款をベースとするものが多い)が適用されます。欠航や大幅遅延の場合は代替便への振り替えや運賃の払戻しが受けられますが、遅延時間に応じた定額の金銭補償は日本の制度には存在しません。ANAやJALの約款でも、遅延に対する具体的な金銭補償額は定められていないのが現状です。
EU規則EC261/2004の適用
EU加盟国(フランス・ドイツ・英国等)の空港を出発地とする便については、搭乗者の国籍・航空会社にかかわらず、EU規則EC261/2004が適用されます。
補償が発生する条件:
- 3時間以上の到着遅延(天候などの「非常事態」を除く)
- 便のキャンセル(事前通知なし、または14日以内の通知)
- オーバーブッキングによる搭乗拒否
補償額の基準:
- 1,500km以内のフライト: 250ユーロ
- EU域内1,500〜3,500km: 400ユーロ
- 3,500km超: 600ユーロ
日本からEU経由でさらに乗り継ぐ際の乗継便がEU域内出発であれば、その区間についてはEU規則が適用されます。
例外状況
免責事由(航空会社が補償しなくてよいケース)
以下は「航空会社の責に帰さない事由」として、宿泊費・食事代等の補償義務が免除される主な事由です。払戻しは受けられますが、追加補償は期待できません。
- 天候による遅延・欠航: 台風・大雪・濃霧・強風など
- 空港施設・管制機関の問題: 滑走路閉鎖・管制指示・空港施設の不具合
- ストライキ: 空港・管制官のストライキ(EU規則ではこれを「非常事態」とする場合がある)
- 鳥・ドローンとの衝突など予測不能な事象
免責事由に当たるかどうかは航空会社が判断します。納得できない場合は国土交通省への申出や消費者庁の相談窓口を利用してください。
旅行保険「航空機遅延費用補償」の活用
旅行保険に加入している場合、免責事由による遅延であっても保険の「航空機遅延費用補償」を利用することで食事・宿泊の実費を補填できる場合があります。ただし補償が発生するには、保険会社が定める最低遅延時間(多くの場合2〜4時間以上)を超えていること、および航空会社発行の「遅延証明書」を取得していることが条件となります。
費用・リスク・注意点
遅延証明書の取得が最優先
遅延・欠航が発生したら、まず**遅延証明書(Flight Delay Certificate)**を航空会社のカウンターで発行してもらいます。この書類がないと、旅行保険の遅延補償申請ができません。搭乗ゲートや搭乗口付近のスタッフに依頼するか、後日航空会社の公式サイトから発行依頼できる場合もあります。
国内線払戻し・振り替えの注意点
- 国内線の払戻しは原則として出発予定日から1年以内に手続きする必要があります
- 早割・先得など割引運賃でも、欠航・2時間以上の遅延の場合は払戻し手数料は発生しません(通常の自己都合キャンセルとは扱いが異なります)
- 振替便を手配してもらいながら後から払戻しに切り替えることは基本的にできません。払戻しか振り替えかを現場で決定してください
EU規則補償申請の費用・期間
- EU規則による補償は航空会社に直接請求します。書面(または公式ウェブフォーム)での請求が推奨されます
- 航空会社が拒否した場合、各国の執行機関への申立て費用は基本的に無料ですが、弁護士や補償代行業者を使う場合は成功報酬(補償額の25〜30%程度)が発生します
- 申請から補償支払いまで、場合によっては数か月〜1年以上かかることがあります
- 補償請求の時効は国によって異なります(英国3年・ドイツ3年・フランス5年等)
旅行保険加入の目安費用
国内旅行・国際旅行いずれも、航空機遅延補償を含む旅行保険の保険料は概ね次のとおりです。
- 国内旅行(1〜5日間): 1人500〜2,000円程度
- 国際旅行(1週間・アジア方面): 1人2,000〜5,000円程度
- 航空機遅延特約の補償限度額は商品によって異なりますが、食事費用で1万円程度が目安です
よくある質問
Q. 遅延で乗り継ぎに間に合わず、別途購入した後続便に乗れませんでした。補償は受けられますか?
同一予約(同一PNR)でのトランジットであれば、前のフライトの遅延によって後続便に間に合わなかった場合、航空会社は代替便の手配義務を負います。しかし別々に購入した乗り継ぎ便の場合、2つの予約は法的に独立しており、最初の便の遅延を理由とした後続便の払戻しや補償は基本的に請求できません。乗り継ぎが含まれる旅程では、同一予約でブッキングするか、旅行保険の「乗継遅延費用補償」に加入しておくことを強くお勧めします。
Q. 遅延補償をクレジットカードの付帯保険で請求できますか?
ゴールドカード以上のクレジットカードには「航空機遅延保険」が付帯していることがあります。対象となる遅延時間・補償内容・利用条件はカードによって大きく異なるため、手持ちのカードの保険約款を確認してください。なお、旅行代金をそのカードで支払っていることが補償の条件になっているカードがほとんどです。
Q. 遅延が発生した際に航空会社から「補償なし」と言われましたが、納得できません。どこに相談すればよいですか?
国内航空会社との紛争は、国土交通省航空局への申出または国民生活センター・各都道府県の消費者センターへの相談が窓口となります。EU規則に関するものはEU各国の執行機関(National Enforcement Body)への申立てが可能です。また国際航空運送に関するトラブルは日本旅行業協会(JATA)でも相談を受け付けています。
Q. 悪天候の遅延でも旅行保険の遅延補償は使えますか?
はい、旅行保険の航空機遅延費用補償は、天候・管制指示などの理由によるものを含め、保険会社が定める最低遅延時間を超えた遅延であれば補償の対象となる場合がほとんどです。悪天候による遅延は航空会社の免責事由に当たりますが、旅行保険の補償と航空会社の補償は別々の制度です。保険加入中であれば積極的に申請してみてください。
Q. 日本発ヨーロッパ行きの日本の航空会社便が遅延した場合、EU規則は適用されますか?
日本(EU域外)を出発するフライトは、出発地がEU域内でなければEU規則は適用されません。日本発ヨーロッパ行きの日本航空会社便には日本の約款が適用されます。ただし復路(ヨーロッパ発日本行き便)については、EU域内出発のため航空会社の国籍を問わずEU規則が適用されます。
参考資料
- 国土交通省航空局「航空運送約款の認可」— 国内線旅客運送約款の認可制度と最新約款へのアクセス
- ANA「国内線 ご搭乗案内(欠航・遅延時の対応)」— 欠航・遅延時の払戻し・振り替え手続きの案内
- 消費者庁「航空サービスに関する消費者問題」— 航空遅延補償に関する消費者相談の情報
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参考資料
上記の出典は本文で扱った一般的情報の一次資料です。時期によりガイドラインが更新される場合がありますので、各機関の最新情報も併せてご確認ください。
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