退職金をもらった、確定申告は必要?どんな人がやった方が得?
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば確定申告は原則不要です。未提出の場合や医療費控除がある場合は確定申告で税金が戻る可能性があります。
目次(14項目)
結論から先に
退職金の確定申告が必要かどうかは、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出したかどうかで大きく変わります。提出済みであれば、退職金は退職所得控除で大部分が非課税になり、確定申告は原則不要です。提出していなかった場合は、退職金の20.42%が源泉徴収されており、確定申告(還付申告)で税金が戻る可能性があります。また、同じ年に医療費控除・ふるさと納税などがある場合も申告が有利です。
提出済みかどうかの確認方法
源泉徴収票を確認する
退職時に受け取った「退職所得の源泉徴収票」を見てください。
| 確認欄 | 申告書提出済み | 未提出 |
|---|---|---|
| 源泉徴収税額 | 0円または少額 | 退職金の約20.42% |
| 摘要欄 | 「申告書提出」の記載あり | 記載なし |
会社に問い合わせる
退職した会社の人事・経理部門に問い合わせると確認できます。数年前の退職でも記録が残っている場合があります。
申告書を提出していた場合
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職所得控除が適用された上で正しい税額が源泉徴収されています。追加の確定申告は不要です。
ただし、次の場合は別途確定申告が必要です。
- 同年中に医療費控除・住宅ローン控除(初年度)・ふるさと納税確定申告を使いたい
- 退職後に給与収入がなく、年末調整が受けられなかった
- 退職翌年に年金受給が始まり所得が発生した
確定申告で還付になるケース
ケース①:申告書を提出していなかった
20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されており、本来の税額より多く引かれています。還付申告をすれば差額が戻ります。
計算例(勤続30年・退職金2,000万円の場合):
- 退職所得控除:800万円 + 10年 × 70万円 = 1,500万円
- 退職所得:(2,000万円 − 1,500万円)÷ 2 = 250万円
- 所得税:250万円に対する税率適用 → 約27.5万円
- 源泉徴収された税額:2,000万円 × 20% = 400万円
- 還付見込み額:約372.5万円
この差額は還付申告で取り戻せます。
ケース②:医療費控除がある
同年中に医療費の自己負担額が10万円(または所得の5%)を超えた場合、確定申告で医療費控除が受けられます。退職金とは別に給与所得があれば、そちらで申告します。
ケース③:住宅ローン控除(初年度)
住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要です。退職金を受け取った年に新居を購入した場合は同年に申告します。
ケース④:ふるさと納税確定申告
ワンストップ特例を使わなかった場合や、寄付先が6自治体以上の場合は確定申告で寄付金控除を申告します。
退職所得控除の計算
退職所得控除額(概算):
| 勤続年数 | 退職所得控除 |
|---|---|
| 5年 | 200万円 |
| 10年 | 400万円 |
| 15年 | 600万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 35年 | 1,850万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
勤続20年以下:年数 × 40万円(最低80万円) 勤続20年超:800万円 + (年数 − 20年)× 70万円
退職所得の計算:(退職金 − 退職所得控除)÷ 2
必要書類
確定申告(還付申告)を行う場合に準備する書類です。
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 退職所得の源泉徴収票 | 退職した会社 |
| 給与所得の源泉徴収票(他の収入がある場合) | 勤務先 |
| 医療費の領収書 または 医療費控除の明細書 | 自分で保管 |
| 寄付金受領証明書(ふるさと納税) | 各自治体から郵送 |
| 住宅ローン残高証明書(ローン控除の場合) | 金融機関 |
| マイナンバーカード or 通知カード+本人確認書類 | 手元 |
確定申告書はe-Tax(国税庁オンライン)で作成・送信できます。マイナンバーカードがあればスマートフォンからも手続き可能です。
Q&A
Q. 確定申告は税務署に行かないとできませんか? A. e-Taxを使えばオンラインで完結します。国税庁の確定申告書等作成コーナーで必要事項を入力し、マイナンバーカードがあれば自宅から送信できます。
Q. 退職金だけで年収が退職所得控除以下の場合、申告は必要ですか? A. 課税退職所得がゼロになる場合は申告義務はありません。ただし申告書未提出で源泉徴収されていれば、還付のために申告する価値があります。
Q. 役員退職金でも同じですか? A. 勤続5年以下の役員等の退職金は「特定役員退職手当等」として課税上の優遇が異なります(÷2の計算が適用されない)。詳細は国税庁の案内か税理士に確認してください。
Q. 退職金を分割でもらう場合の扱いは? A. 分割払いの退職金は「退職所得」ではなく「雑所得」として扱われることがあります。一括払いと分割払いで税務上の扱いが変わるため、受け取り方法を決める前に確認することをお勧めします。
Q. 還付申告はいつでもできますか? A. 退職翌年の1月1日から5年間受け付けています。通常の確定申告期間(2〜3月)でなくても申告できます。
参考資料
- 国税庁 退職金と税 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm
- 国税庁 退職所得控除額の計算 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
- 国税庁 確定申告の要否 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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