103万円の壁が160万円に変わった、配偶者控除はどうなる?

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103万円の壁が160万円に変わった、配偶者控除はどうなる?

2025年分の所得税から給与所得控除10万円引上げと基礎控除最大95万円拡大により、給与収入160万円まで所得税がかかりません。ただし配偶者控除・社会保険の壁は別軸のルールが続きます。

どうする?編集部 · · 読了時間 約6分

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結論から先に

2025年分(令和7年分)の所得税から給与収入が160万円以下であれば所得税はゼロになります。これは給与所得控除の最低保障額の10万円引上げと、基礎控除の最大95万円への拡大が組み合わさった効果です。いわゆる「103万円の壁」は「160万円の壁」に移動したと言えます。

ただし、この変更はあくまで所得税の非課税ラインの話です。以下の点は今回の改正と別軸で、変わっていません。

  • 配偶者控除・配偶者特別控除の要件: 配偶者の所得要件・配偶者控除を受ける本人(夫など)の年収上限は別途定められており、この改正だけでは単純に「扶養から外れない」とは言えません。
  • 社会保険の130万円・106万円の壁: パート・アルバイトの社会保険加入義務は別の基準で判断されます。

働き方や税・社会保険の見直しをする際は、所得税の壁と社会保険の壁を切り分けて理解することが重要です。

どんな場合に当てはまるか

給与所得者の非課税ラインの変化

2025年分の所得税から、給与所得控除と基礎控除の両方が拡大されました。

給与所得控除の引上げ

給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます(収入162.5万円以下の場合)。これにより、少ない給与収入でも差し引ける金額が増加しました。

基礎控除の拡大

基礎控除は従来一律48万円でしたが、2025年分から合計所得金額に応じて最大95万円まで拡大されます。

  • 合計所得2,350万円以下: 95万円
  • 合計所得2,350万円超〜2,400万円以下: 72万円
  • 合計所得2,400万円超〜2,450万円以下: 48万円
  • 合計所得2,450万円超〜2,500万円以下: 16万円
  • 合計所得2,500万円超: 0円

一般的なパート・アルバイトや低〜中所得の方(合計所得2,350万円以下)は基礎控除が95万円となります。

非課税ラインの計算

給与収入160万円の場合:

  • 給与所得控除65万円(最低保障額)を差し引くと、給与所得は95万円
  • 基礎控除95万円を差し引くと、課税所得は0円
  • 所得税はゼロ

給与収入が160万円を超えると課税所得が発生し、所得税が生じます。

配偶者控除・配偶者特別控除への影響

配偶者控除(38万円)を受けるには、配偶者の合計所得が48万円以下(給与収入なら103万円以下)という条件があります。この要件は今回の基礎控除拡大の影響を受けず、2025年分でも103万円(給与収入ベース)のラインが継続します。

一方、配偶者特別控除(最大38万円)は、配偶者の合計所得が48万円超〜133万円以下の範囲で受けられます。今回の改正で所得計算が変わる部分はありますが、配偶者控除の判定における「合計所得48万円以下」の基準は変更されていません。

特定扶養親族(学生等)の年収要件の引上げ

学生(19〜22歳)を扶養する場合の特定扶養親族控除(63万円)について、対象となる学生の年収要件が引き上げられます。従来の103万円ラインから約150万円相当(合計所得85万円以下)への拡大が2025年分から適用される方向で調整されています。これにより、学生アルバイトが年収150万円程度まで働いても親の扶養控除が維持されやすくなります。

実際の手取り計算例

月給15万円(年収180万円)のパートの場合(扶養内・社会保険未加入を前提):

  • 給与所得控除: 65万円(最低保障)
  • 給与所得: 115万円
  • 基礎控除: 95万円
  • 課税所得: 20万円
  • 所得税: 20万円 × 5% = 1万円(年間)

同条件で年収160万円以下なら所得税は0円です。

例外状況

社会保険の壁(106万円・130万円)は別軸で継続

106万円の壁(週20時間以上、月給8.8万円以上、101人以上の会社等の条件が重なる場合)と130万円の壁(年収130万円超で配偶者の被扶養者から外れる基準)は、社会保険法の基準であり、今回の所得税改正とは無関係です。これらのラインを超えると厚生年金・健康保険の自己負担が生じ、手取りが大幅に減ることがあります。

配偶者の合計所得が133万円を超える場合

配偶者特別控除の上限(配偶者の合計所得133万円以下)を超えると、控除がゼロになります。給与収入では約201.6万円超が目安です。この上限も今回の改正では変更されていません。

高所得者(合計所得2,350万円超)の基礎控除

合計所得が2,350万円を超えると基礎控除が段階的に減少し、2,500万円超ではゼロになります。高所得世帯ではこの改正の恩恵を受けられません。

公的年金受給者

公的年金受給者の所得税計算には「公的年金等控除」が適用され、給与所得控除とは別の計算になります。給与収入と年金収入の両方がある場合は計算が複雑になるため、税務署または税理士に確認することをお勧めします。

費用・リスク・注意点

所得税の減額・還付の試算

2025年分から適用されるため、2025年12月の年末調整または2026年2〜3月の確定申告で還付・減税が発生します。

  • 年収120万円(パート・単身): 所得税ゼロ(旧来は約8,500円課税)
  • 年収160万円(同上): 所得税ゼロ(旧来は約28,500円課税)
  • 年収200万円(同上): 約8,500円の節税効果
  • 年収300万円(同上): 約15,000〜20,000円の節税効果(所得に応じ変動)

住民税は別計算(2026年6月から変化)

住民税の基礎控除は43万円(→2025年分から若干拡大の方向で検討中)であり、所得税とは異なります。所得税が非課税になっても住民税は一定額発生するケースがあります。2026年6月の住民税通知で変化を確認してください。

社会保険の扶養判定(130万円・106万円)は別ルール

所得税の非課税ラインが160万円になっても、健康保険の被扶養者の認定基準(年収130万円未満)は変わりません。年収が130万円を超えると配偶者の健康保険の被扶養者から外れ、自身で国民健康保険か職場の健康保険に加入する必要が生じます。130万円を超えた時点で健康保険料・国民年金保険料の負担(年間約24〜30万円程度)が生じるため、所得税の軽減分より社会保険料負担が大きくなるケースがあります。

給与計算・源泉徴収の切り替え時期

2026年1月支給分の給与から、新しい源泉徴収税額表が適用されます。毎月の源泉徴収額が変化します。会社が給与計算システムを更新しているか確認してください。更新されていない場合は年末調整で精算されますが、会社の担当部門への確認が推奨されます。

よくある質問

Q. 年収160万円を少し超えた場合、損をしますか?

所得税だけを見れば、160万円を超えた分に対して5%の所得税がかかるため、急激な手取り減少(いわゆる「壁」の崖)はありません。ただし社会保険の130万円の壁は残っており、年収130万円超〜160万円の範囲では社会保険料負担が発生するため、この区間では手取りが逆に減る可能性があります。「所得税の壁」と「社会保険の壁」を分けて理解することが重要です。

Q. 会社に「扶養内で働きたい」と伝える場合の年収上限は変わりましたか?

「税法上の扶養(配偶者控除)」の目安である給与収入103万円(合計所得48万円以下)のラインは変わっていません。ただし、配偶者特別控除は合計所得133万円(給与収入約201万円)まで段階的に受けられるため、「103万円を少し超えても配偶者の税負担は急増しない」という実態は以前と同様です。

Q. この改正は2024年分の確定申告でも使えますか?

使えません。2025年分(2026年の確定申告または2025年12月の年末調整)から適用です。2024年分は従来通りの計算になります。

Q. 扶養控除申告書の書き方は変わりますか?

2025年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は国税庁が改訂した様式を使います。特定扶養親族の年収要件の変更に伴い、対象となる学生の記入基準が変わる場合があります。会社から2025年分の申告書の提出を求められた際は、国税庁の最新の記載要領を確認してください。

Q. 副業収入がある場合も160万円まで非課税ですか?

給与収入以外の副業収入(雑所得・事業所得)には給与所得控除が適用されません。副業収入が20万円超の場合は確定申告が必要で、給与以外の所得についても税計算が必要です。給与収入と副業収入を合計した「合計所得」で基礎控除や税率が決まります。

参考資料

  • 国税庁「令和7年分の所得税の改正のあらまし」— 基礎控除の拡大・給与所得控除の引上げ等、2025年分から適用される主な改正内容
  • 財務省「税制改正の解説(令和7年度)」— 改正の背景・趣旨・各控除の改正内容の詳細な解説
  • 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」— 社会保険の加入基準(106万円・130万円の壁)に関する最新情報
103万円の壁が160万円に変わった、配偶者控除はどうなる? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Aleksandrs Karevs on Unsplash

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参考資料

  1. 国税庁「令和7年分の所得税の改正のあらまし」
  2. 財務省「税制改正の解説(令和7年度)」
  3. 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」

上記の出典は本文で扱った一般的情報の一次資料です。時期によりガイドラインが更新される場合がありますので、各機関の最新情報も併せてご確認ください。

ご注意. 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個人の状況により異なる場合があります。医療・法律・金融など専門的な判断が必要な事項は、必ず該当分野の専門家にご相談ください。

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