退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると控除はどうなる?

結論

退職金とiDeCoを同年受給時は退職所得控除が合算計算。10年ルール改正後はiDeCoの一時金受取が制限される場合があるため、順番に注意。

どうする?編集部 · · 読了 約5分
目次(15項目)
  1. 結論から先に
  2. 退職所得控除の基本
  3. 退職金とiDeCoの合算計算
  4. 10年ルールとその改正議論
  5. 受取り順番のシナリオ
  6. シナリオA:退職金を先に受け取る
  7. シナリオB:iDeCoを先に受け取る
  8. シナリオC:両方を一括(同年)に受け取る
  9. 年金型受取りの選択肢
  10. 公的年金等控除の枠
  11. 受取り計画の立て方
  12. 個別相談先
  13. 注意点
  14. よくある質問
  15. 参考資料

結論から先に

退職金とiDeCoを同じ年に一時金で受け取る場合、退職所得控除は合算で計算されます。勤続年数とiDeCoの拠出年数のうち長い方が基準になり、重複しない範囲で控除が適用される仕組みです。2026年1月から「10年ルール」が改正される議論があり、影響期間が拡大される可能性があります。受取りの順番により節税効果が変わるため、退職前にFPや税理士へ相談すると、家計に合った最適な順番が見えてきます。

退職所得控除の基本

退職所得控除は、勤続年数に応じて以下のように計算されます。

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20)

例:勤続30年なら、800万円+70万円×10年=1,500万円が控除額です。

退職金からこの控除を引いた残額が、退職所得として課税対象となります。さらに、2分の1課税(勤続20年超の場合)で計算されるため、税負担は所得控除としては最も有利な仕組みです。

退職金とiDeCoの合算計算

退職金とiDeCoを同じ年に受け取る場合、退職所得控除は次のように扱われます。

  • 退職金の勤続年数とiDeCoの拠出年数のうち長い方が基準
  • 重複期間は控除を二重に使えない
  • 短い方の差分(重複してない期間)が追加で控除に使える

例:

  • 勤続35年で退職金1,500万円
  • iDeCo拠出20年で受取額500万円
  • 重複期間:20年(両方が同時にあった期間)

この場合の退職所得控除は、勤続35年=800万円+70万円×15=1,850万円となります。退職金とiDeCoの合計2,000万円−控除1,850万円=150万円が退職所得(2分の1課税)となります。

10年ルールとその改正議論

「10年ルール」とは、iDeCoを一時金で受け取ってから10年以内に勤務先からの退職金を受け取る場合、退職所得控除を合算で計算するルールです。

  • iDeCo→退職金:10年以内なら合算
  • 退職金→iDeCo:5年以内なら合算(現行ルール)

2026年1月からの改正議論で、この期間が変更される可能性があります。最新情報は国税庁・厚生労働省の発表を確認してください。

受取り順番のシナリオ

シナリオA:退職金を先に受け取る

  • 退職金受取り(60歳〜65歳)
  • 退職所得控除を満額活用
  • 5年(改正後10年?)経過後にiDeCoを一時金で受け取り
  • iDeCoの方は別の退職所得控除を使える可能性

ただし、5年(または10年)の間隔を空ける必要があり、iDeCoの運用期間が長くなります。

シナリオB:iDeCoを先に受け取る

  • 60歳でiDeCoを一時金で受け取り
  • 退職所得控除を活用
  • 10年以内に退職金を受け取ると合算計算
  • 10年超なら別計算が可能

会社員で60代まで働き続ける場合、退職金受取りが70歳に近くなる必要があります。

シナリオC:両方を一括(同年)に受け取る

  • 退職金とiDeCoを同年に一時金で受け取り
  • 退職所得控除は合算で計算
  • 勤続年数とiDeCo拠出年数のうち長い方を基準に控除

年金型受取りの選択肢

iDeCoは一時金以外に、年金型(分割受取り)も選べます。

  • 一時金型:退職所得控除を活用
  • 年金型:公的年金等控除を活用(年金として扱う)
  • 併用型:一部一時金、残りを年金で

年金型を選ぶと、退職所得控除の合算問題は発生しません。ただし、年金として毎年課税され、国民健康保険料の計算にも影響します。

公的年金等控除の枠

iDeCoを年金で受け取る場合、公的年金等控除が適用されます。

  • 65歳以上:120万円まで非課税
  • 65歳未満:60万円まで非課税

公的年金と合計で、年合計400万円以下なら税負担が軽くなります。退職後の生活設計に合わせて、年金型と一時金型を組み合わせるケースが多いです。

受取り計画の立て方

退職5〜10年前から、受取り計画を立てるのが現実的です。

  1. 退職金の予想額を会社の規定で確認
  2. iDeCoの予想額を運営管理機関のシミュレーターで確認
  3. 退職所得控除の試算(両方合算と別計算で比較)
  4. 税金の試算(所得税・住民税)
  5. 国民健康保険料への影響を確認
  6. 最適な順番・形式を判断

会社の人事部、または独立系FPに相談すると、自分の家計に合った形が見えてきます。

個別相談先

  • 会社の人事部:退職金規定の詳細
  • iDeCo運営管理機関:受取り方の選択肢
  • 税理士:税額試算と受取り順番
  • FP(ファイナンシャル・プランナー):家計全体のシミュレーション

無料相談を行っているFP事務所や、自治体の高齢者向け相談窓口もあります。

注意点

  • 退職金は給与の一部として扱う会社もあり、規定を要確認
  • iDeCoの受取り時期は60歳以降で本人が選べる
  • 一度年金型を選ぶと一時金に戻せない場合がある
  • 税制改正で控除の計算式が変わる可能性

判断は退職の数年前から始めて、税理士・FPの試算を踏まえて決めるのが安全です。

よくある質問

Q. 退職所得控除はどう計算されますか?

退職所得控除は勤続年数に応じて計算され、20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20)です。例えば勤続30年なら、800万円+70万円×10年=1,500万円が控除額です。退職金とiDeCoを同年に一時金で受け取る場合、勤続年数とiDeCoの拠出年数を合算するルールがあり、重複しない範囲で控除が適用されます。

Q. 10年ルールとは何ですか?

iDeCoを一時金で受け取った後、10年以内に勤務先からの退職金を受け取る場合、退職所得控除を合算で計算するルールです。2026年1月の改正で、この10年ルールが変更される議論があり、影響期間が拡大される可能性があります。詳細は2026年の確定情報を確認してください。

Q. 順番を変えるだけで節税できるのですか?

退職金を先に受け取り、その後の年(または翌々年以降)でiDeCoを一時金として受け取ることで、退職所得控除を別計算にできる場合があります。ただし、iDeCo→退職金の順番でも10年ルールに該当すれば合算計算になります。順番のコツは個別の状況によります。FPや税理士の試算が現実的です。

Q. iDeCoを年金型で受け取れば退職所得控除と無関係になりますか?

iDeCoを年金で受け取ると、雑所得として課税され、退職所得控除の枠とは別の「公的年金等控除」が適用されます。年金で受け取れば、退職金との合算問題は発生しません。ただし、年金で受け取ると課税のタイミングが分散され、社会保険料(国民健康保険)の計算にも影響することがあります。

Q. 退職金とiDeCoを5年差で受け取ったら?

5年差なら10年ルールに該当するため、退職所得控除は合算計算されます。「10年ルール」を回避するには、iDeCoを先に一時金で受け取ってから、10年超の間隔をおいて退職金を受け取る必要があります。これは現実的に難しいケースが多いです。

参考資料

  • 国税庁「退職所得控除」— 控除の計算式
  • 厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)」— 制度の基本
  • iDeCo公式サイト「受け取り方の選択肢」— 受取り形式の選び方
退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると控除はどうなる? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Behnam Norouzi on Unsplash

広告

広告枠 (AdSense 承認後に自動表示)

参考資料

  1. 国税庁「退職所得控除」
  2. 厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)」
  3. iDeCo公式サイト「受け取り方の選択肢」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

関連記事

同じテーマの記事

タグ #退職金 #iDeCo #退職所得控除 を含む他のカテゴリの記事も見る